バイオリンベースがやってきた!
バイオリンベース、
中学生で、ビートルズを知り、
ロックへとハマっていった頃から
圧倒的に憧れの楽器だった。
ビートルズのポール・マッカートニーの愛器だから
というのはもちろんだけど、
それ以上に
バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
などを模した
トラディショナルなデザインに惹かれた。
クラシックな楽器風の外観で
ロックンロールをやるエレキベース
ってギャップがすごくモダーンで、
中学生の僕はドはまりした。
バイオリンを模してはいるけど
それほど忠実ではなく
適度に省略され洗練されたボディラインがステキ!
さすが、カールヘフナー、
ドイツのデザインだ。
でも、当時中学生の自分には手が届かなかった。
カールヘフナー製はもちろん
グレコのコピーモデルさえも高嶺の花。
1万5千円のヤマハ製のフォークギターを
手に入れるのがやっとだった。
身近でバイオリンベースを持ってる人もいなかった。
どうしても実物を見たかった僕は
ロックや洋楽にハマった同級生数名と
御茶ノ水の楽器屋まで見に行くことにした。
御茶ノ水にはエレキをたくさん並べてる
楽器屋が何軒もあるってことを
その時、初めて知った。
バイオリンベースの実物を
(ヘフナーじゃなくてグレコだったけど)
間近でシゲシゲと見た。
至福の時間だった。
カタログを貰って、
でも散々見るだけで何も買わない
目だけ爛々と輝かせていた。
だが結局のところ、
高校生になってバンドを始めて
最初はギターで、
その後、ベースに転向したけど、
あれだけ憧れた
バイオリンベースを手にすることは無かった。
バイオリンベースはショートスケールな上に
ホローボディ(中空構造)で
強い重低音が出ない、
音が柔らかく輪郭がシャープではない。
ロックで使うのには不向きな楽器だ
というのを知ってしまっていたからだ。
外観はそのままで
ソリッドボディーのバイオリンベースを
作ってもらったらどうだ、
なんて話をがっちゃんとしたような気もする。
ポール自身だって、
ビートルズの後期から解散後のウイングスと
バイオリンベースからリッケンバッカーに
持ち替えている。
ポール師匠が再びバイオリンベースを使うようになったのは、
80年代末にエルビス・コステロと組んで
数曲を作り、お互いのアルバムで発表したことがあったが
その時、コステロがポールに
バイオリンベースでやろうよと強く勧めたからだという話だ。
で、何十年かの時を経て
ついにバイオリンベースがやってきた!
がっちゃんからタダ同然で譲ってもらった。
今更、バイオリンベースを手に入れて
どうするのかというと
こうして部屋にかけて飾って、
時々、ギターポリッシュで磨くのさ。
この楽器は
愛用の琵琶ベースとちがって
座って弾けるから便利だね。
(タ)